俺と後輩と怪談と。
期待なんてするもんじゃない。
後輩が俺の前に現れることはなかった。
一年の教室を覗いてみたけど、後輩の姿はなく、クラスメートであろう女子生徒に尋ねても、居ないと返ってくるだけ。
昼休みになって北校舎に向かう。
時間いっぱい探したけど、やっぱり見つからなかった。
放課後も俺は北校舎へ。
でもどうすればいいのか分からなくて、楠木が消えた長い廊下で立ち尽くしていた。
一体どこへ行ってしまったのか。
「……守るって言ったくせに。」
自分が危険な目に遭ってどうすんだ。
「――あれ?こんな所に人が居るなんて珍しいなぁ。」
廊下の端から声が聞こえた。
今この場には俺しかいないから、多分俺に向けられたものだ。
声の主は、徐々に距離を縮めてくる。