俺と後輩と怪談と。
「どうして?」
「そういった霊に死んだことを認めさせるのは難しいんだ。頑なに拒絶する。」
仙道は肩を竦める。
「そういうもんなのか。」
と納得した瞬間、耳に届く泣き声。
もしかして……
「これが七不思議の?」
「みたいですね。」
楠木は声のする方へどんどん進んでいく。
俺と仙道はその後ろに続いた。
「わくわくするなぁ」
と仙道は楽しげだが、俺は正直帰りたかった。
きっとまた、ろくな目に合わないと感じていたから。
楠木は二階の教室に入っていく。
立ち止まったのは教室の後ろの隅。
その場に楠木は跪いた。
俺は隣にいる仙道にこそっと耳打ちをする。
「……あそこに居るの?」
「うん。黒いロングヘアーの女の子が。膝抱えてうずくまってる。」
楠木が手を空中に浮かす。
それはまるで優しく頭を撫でているようだった。