俺と後輩と怪談と。


「というか、お前、俺に憑いた霊を祓えるんだから成仏させてあげることも出来るんじゃないのか?」


俺の提案に楠木は眉を寄せた。


「確かに強制的に成仏させることは可能ですが………」
「――出来るけど、やりたくないんだよね?」



仙道は笑いながら言う。



「何で?」


俺の問いかけに楠木は答えず、代わりに仙道が口を開く。



「――その資格が楠木くんにはないからだよ。」



資格?
そんなものが必要なんだろうか?


「資格って一体な――」



言いかけた所で楠木が立ち上がる。


「どうするの?強制的にやっちゃう?」


楠木が仙道を睨みつける。


「仙道……先輩は少し黙っていてもらえませんか?」



おお、怒ってる怒ってる。


仙道は肩を竦めたまま俺の隣に移動してくる。



「どうするつもりだろうね?」


呟いた仙道はあくまでも楽しげだ。

なんてマイペースな奴なんだろうか。


まぁ、楠木がどうするのか気になるのは一緒だけれど。



< 33 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop