俺と後輩と怪談と。
突然現れた後輩の名は、楠木 京汰(クスノキ キョウタ)と言うそうだ。
二つ下の一年生らしい。
隣を歩く彼にどこへ行くのかと訊ねても、返事は行けば分かると言うものだけだった。
仕方がなく黙って彼について行くことにした。
南校舎を抜けて気付いた。
楠木は、北校舎へと向かっているんだと。
この学校は南校舎と北校舎の二つに分かれている。
南が新校舎、北が旧校舎。
俺達生徒は主に南校舎を利用している。
北校舎に用があるとすれば、図書室で調べものをする時ぐらいのものだ。
実際、数える程度しか北校舎に踏み入れたことはない。
何というか……
雰囲気も独特で。