俺と後輩と怪談と。



「で、今日の七不思議は?」


――恨みの屋上。


数十年前、この学校の教師と女子生徒が恋愛関係にあったそうです。


当然周りは反対。


二人は許されない愛を貫こうと、一緒に死ぬことを決めました。


学校の屋上、手を繋ぎながら落ちようと約束して。


しかし、身を乗り出した瞬間、教師が裏切った。


やはり死にたくないと生徒の手を離してしまった。


結局、亡くなってしまったのは女子生徒だけ。



「それでその女子生徒の霊が憑いているって訳か?」
「はい。屋上で告白をすると殺されるそうですよ。」



殺されるって……。


「けど、それも噂だろ?」
「そう。ただの噂です。」


口の端だけを上げて楠木は笑った。



そうこう言っているうちに俺達は屋上へとたどり着いた。



誰も出入りしていないためか、土埃がすごい。



「ねえ、楠木くん。君はさっき告白をしたら殺されるって言ったよね?どうするの?今ここには男しか居ないよ?」



確かに……。
今この場にいるのは男3人だけだ。


「問題ありません。気持ちを込めれば相手は誰でも構いませんから。」



……男相手に気持ち込めることが難しいんじゃ。



「じゃあ俺が歩夢先輩に告白するー!」


と仙道が楽しげに手を挙げた。


「別に良いですよ。」


楠木は言う。


と言うか、俺の意見は無視かよ。



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