昼下がりの科学準備室で




諦めるつもり、だったのに・・・


もう手遅れだ。
既に私の心は、先生で埋め尽くされている。



先生が、



好き。





もう一度、無防備な寝顔に視線を落とす。

先生が眠っているときなら、いくらでも、こうやって顔を見ることができるというのに。

でも、先生が起きてしまえば、こうもまじまじと見ていられない。
だから私は、今、この瞬間を頭に刻み込むように、瞬きも忘れて、先生をじっと見つめていた。


長いまつげ、すっと通ったきれいな鼻、薄く形の良い唇。



・・・・先生、



このままだと私、



先生に、キスしてしまいます。




だから早く、目を開けてください。



早く、



早く、




私を、止めてください。




< 10 / 20 >

この作品をシェア

pagetop