昼下がりの科学準備室で
重なり合った額から、先生の体温が伝わってくる。
私は未だにこの状況を、夢だと信じて疑わない。
先生が私に甘い囁きをくれるなんて、まず有り得ないし・・・
それに、ここがいつも勉強を教わって、一緒にお昼を食べてる、科学準備室だなんて思えないからだ。
「誰にも言うんじゃねーぞ・・・」
「は、はい・・・」
「特に、親にはまだ、言うなよ・・・こんな純粋な娘に、あんな顔、させたなんて知れたら、色々大変だから・・・あと・・・・」
一瞬額が離れる。
そして・・・・
一瞬のうちに視界が先生でいっぱいになった。
唇が、熱い・・・・
これは・・・・キス・・・・?
「今のも内緒、な」
口の前に人差し指を突きつけて、少し、首を傾ける仕草をしてみせる。
かっこ、いい・・・・
ファーストキスのような、そうとも違うような・・・。
でも、さっきよりはずっと、まともなキスだった。