My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ







「クレムか・・・。あそこへ行くのは至難の業だな」




王宮を出た後、すぐに旅の仕度を始めた俺達

ガチャガチャと剣や食料などを馬に括り付ける



そんな時、既に準備を終えた父さんが岩の上に座り

顎髭を弄びながら、そう言った




「あそこは道が険しいからね」

「それもあるが、あそこはゲイル達の住かに近い」

「――確かに」



父さんの言葉に同意する様に、コクンと頷く



ゲイル―――

それは、国を持たない奴らの事

旅人を襲っては、殺し、持ち物を奪う


――女、子供、容赦なく


悪魔の様な種族だ
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