My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
◇
「クレムか・・・。あそこへ行くのは至難の業だな」
王宮を出た後、すぐに旅の仕度を始めた俺達
ガチャガチャと剣や食料などを馬に括り付ける
そんな時、既に準備を終えた父さんが岩の上に座り
顎髭を弄びながら、そう言った
「あそこは道が険しいからね」
「それもあるが、あそこはゲイル達の住かに近い」
「――確かに」
父さんの言葉に同意する様に、コクンと頷く
ゲイル―――
それは、国を持たない奴らの事
旅人を襲っては、殺し、持ち物を奪う
――女、子供、容赦なく
悪魔の様な種族だ