My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
何か言わなければ――
それでも、何か言葉を零せば
夢から現実に戻ってしまう様な気がして声が出ない
この女性をずっと見ていたい
その感情が心に溢れる
どれだけ、見つめ合っていただろう
一瞬だったのだろうが
永遠に感じた、その時間
そんな時―――
「ここに来てはいけない」
風に乗って聞こえてきたのは
まるでハープの音色の様に美しい声
夢の中にいる様な感覚の中に
ハッキリと聞こえたその小さな声は、俺の鼓膜に届いて震わせる