My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
その声が鼓膜を通って、俺の心を振動させる
ビリビリと体が震える
言いようがない感情が体を覆って、再び言葉を無くす
しかし、その声を聞いてゆっくりと現実に戻された
「そ..なたは?」
今にも雪の様に消えてしまいそうな彼女に、そう問いかける
それでも、その表情を崩す事なく
ただただ、真っ直ぐに俺を見つめる女性
そして
「ヴェントスの者か」
少しだけ、その瞳を細めて小さくそう呟いた彼女
美しい衣が、音も無く揺れる
輝く髪が頬を撫でている
宝石の様に輝く瞳が、俺を映している