My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「分からぬ」
「それが、この世界の道理なんだ」
「――」
「そうしなければ、生きていけない。悲しいけどね」
この国の様に、どこまでも穏やかに生きられたら、どんなに幸せだろか
本当に、そう思う
心から、そう思う
だけど、世界はそんなに穏やかなものではない
守らなければ、奪われる
誰も守ってはくれない
だったら、自分達で守らなければ生きていけない
「でも、ソフィアは分かっているんじゃないのか?」
「何をだ」
「――戦わなければ、守れないって」
真っ直ぐにそう言って、彼女の後ろに立てかけてある剣に目を移す
キラリと光るソレは、先程まで彼女が握っていたもの
強くなりたいと願って、握っていたもの
そんな俺の視線に気づいたソフィアが、瞳を大きく揺らした