My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
じっと俺を見下ろす彼女
月明かりが差し込んで、彼女の髪を銀に染める
すると
「分かっている・・・」
頼りなく、零れた言葉は
あまりにも小さくて、風の音にかき消されそうだった
それでも彼女の瞳から目を離さず、言葉の続きを待つ
「だから、剣を取った―――大切なものを守りたいから」
「――」
「もう...失うのは、嫌だ」
今にも擦れそうな声でそう呟いて、唇を噛んだソフィア
その姿を見て、ゆっくりと掴んでいた手を離す
それと同時に
力なく落ちた手とその視線
俯いた彼女は、今も尚その唇を噛みしめている