My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
儚げに揺れる彼女の金と銀の髪
泣いているのではと思ったけど、その強い瞳からは何も落ちてこない
その姿を見つめながら、ゆっくりと足を前に出した
「――君のその強さは、この国を変える」
そう言って、壁に立てかけてある彼女の剣を取る
銀に光るソレは、強さの証でもある
大切な何かを守る
自分の魂でもある
それを、彼女の前に差し出す
そっと
顔を上げた彼女が俺の差し出した剣を見つめて、ぐっと歯を食いしばった
それでも、そっとその剣を手に取った
細く、美しい指先
その手の平にできた、沢山の痣を見る
彼女の努力の証
ここまでなるには、相当剣を握らなければできない