My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「どうした?」



もともと口数が少ない彼女

ましてや俺の名を呼ぶ事も、数えるくらいしかなかった



だから、少し驚いた





「そなたの国は、どんな国なのだ?」




隣に座る俺の目を見ずに、淡々とそう言う彼女

見つめるのは、天に浮かぶ月だけ



そんな中、何も言わない俺にゆっくりと視線を下ろしてきた彼女

そして、今度は目を見て



「どんな国なのだ?」



そう言った。



その姿に、きゅっと胸が詰まる

ただ、俺の姿を捕らえてくれただけで



その言葉が

どこか柔らかかっただけで



胸がいっぱいになる



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