My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「アレン?」
じっと、その姿を黙って見つめる俺を不思議に思ったのか首を微かに傾げるソフィア
その声にはっと我に返って、その場を取り繕う
「あ――あぁ。とても美しい国だ。こことは少し違うけど」
「風の国...と聞いたが」
「あぁ。その名の通り、風の国だ。海から吹く風と山を抜けて吹く風が、絶え間なく国に注がれる」
頬を優しく撫でる、この国の風とは違う
巻き上げる様な、強く勢いのある風
俺の好きな、風
「国は海に囲まれていて、その周りに美しい山々があるんだ。その恵みを貰って、民は生活をしている」
見上げるほどの大樹に寄りかかって
海を眺めるのが好きだった
美しく輝く
あの海が好きだった