My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ


「――ない」



俺の言葉に少し不満だったのか

素っ気なく視線を足元に向けてそう呟いたソフィア



その姿を見て、愛おしく思う

何故か、とても




「海は広い。青く煌めく水がどこまでも続いている」

「――海は、青いのか?」

「あぁ。湖とは違う色だ。そして、舐めると、しょっぱい」

「しょっぱい?」




悪戯っぽくそう言った俺の言葉にも興味を示すソフィア

まるで子供の様に目を瞬かせている



その姿を見て、柔らかく微笑む

にっこりと



なぜか、とても楽しくて




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