My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「嘘だ。甘い」
「海は甘いのか? なぜ?」
純粋に俺の言葉を信じて試案する彼女
真剣な面持ちで、甘いのか。と繰り返し呟いている
そんな姿に、徐々に笑いが込みあがってくる
そして、口の端がひくひくと痙攣してきて
思わず吹き出してしまった
「あははっ、嘘だ」
お腹を抱えてケラケラ笑う俺を一瞬ポカンとした顔で見つめたソフィア
でも、からかわれたと分かったのか
その途端、俺をすごい形相で睨みつけた
「もう、そなたの言う事は信じぬ」
子供の様に拗ねて、そっぽを向く彼女
そんな彼女の態度を見て、嬉しく思う
少し前の彼女には無かった表情だ
どこか人間らしさが戻った
そんな気がする