My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「誰が一番多く獲れたか、競い合うんだ」
思い出の引き出しを開けて
彼女にも覗いてもらう
俺の思い出の欠片を
「そなたは・・・勝った事はあるのか?」
そっぽを向いていた彼女が、再びこちらに視線を向ける
淡々とした言葉の中に、少しだけ好奇心を滲ませて
「負けた事など、ない」
「嘘だ」
「俺は嘘は言わない」
「――嘘」
睨みつけてくる彼女に、さっきの会話を思い出して、またケラケラと笑う
温かい思い出と
隣に彼女がいるだけで
心が温かくなる