My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「それでもきっと、アネモスが一番美しいと思うのだろうな」
ゆっくりと俺の方に視線を下ろすソフィア
柔らかい金の髪が揺れる
美しいターコイズの瞳が、優しく細められる
その表情につられるように、俺も瞳を細めた
彼女も同じ事を思っていた
どれだけ、この世に美しい国があろうと
どれだけ、栄えた国があろうと
自分の生まれ育った国よりも
良い国はない、と
彼女もこの国を愛している
きっと誰よりも――
「あぁ。きっと」
小さく頷いて、柔らかく笑った
帰りたい。と思って――