My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「食べてはいけないっ!」
強く放った言葉の勢いで、バラバラと持っていた箱から真っ赤な果実が落ちる
美しい花畑に、真っ赤な果実がまるで血の様に点々と転がっていく
そんな中でも、目の前の彼女の手をギュッと握って、その手を制す
食べたら死ぬだって―――?
そんな事させない
それよりも毒性があるなんて、グレイスは言ってなかった
でも、それが本当なら
これ以上食べたら―――
自分の考えに、冷や汗がタラリと背中に伝った
その時
「――嘘だ」
静寂の中に響く、その声
え―――?