My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「嘘だ」
目が点になった俺を見て、もう一度そう言ったソフィア
「――え? どういう...」
嘘?
何が?
どういう事だ?
頭が回転しない俺を見て、ふっと表情を微かに緩めたソフィア
あ....
笑った
「この前の仕返しだ。この実に毒などない」
掴む力の無くなった俺の腕からスルリと抜けて、持っていた実を口に運んだソフィア
小さな口を微かに動かした後、茫然と立ち尽くす俺を見て目を細めた
「そんなに驚くとは思わなかったがな」
そして、悪戯っ子の様に小さく笑った
その表情を見て、なぜか胸が詰まる
息が苦しくなる
何故か