My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
風が頬を撫でていく
それと同時に、彼女の美しい金と銀の髪が夜風に舞う
その隙間から垣間見える顔が、どこか陰っている様に感じた
「できるさ」
それでも、そんな彼女にハッキリとそう言った俺
すると、伏せていた瞳をゆっくりと持ち上げた彼女
月明かりが彼女の頬を照らす
輝きを含んだ彼女の瞳が、キラリと一度光った
その刹那の瞬間までもが美しくて見惚れてしまう
「笑おうと思わなくていい。きっと笑顔っていうのは、自然と出るものだから」
「――」
「俺が、その手助けに」
彼女を見つめて、そっと微笑む
ユラユラと彼女の瞳が揺れる
頼りなさ気に
まるで、拠り所を探す様に