My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ


「ゆっくりでいい」

「――そんな事...」

「俺は諦めない」




彼女の言葉を遮って、言葉を落とす



諦めたくない

本当にそう思うから



初めて会った時から思っていた

何か深い闇に囚われた彼女

まるで雪の結晶の様に触れたら消えてしまいそうに儚く

寂しさに満ちた、その姿



彼女を知れば知るほど、思う



何が彼女をそうさせたのか

どうしたら、本当の姿が見れるのか




笑顔を取り戻してくれるのか――


< 231 / 304 >

この作品をシェア

pagetop