My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
綺麗だと思う
どこか愁いを帯びた、その姿までもが
とても
「誰かの為じゃなく。自分の為に」
揺れる自分の気持ちを抑える様に拳を握って、そう言う
――誰かの為に、何かの為に剣を取った彼女
でも今度は
自分の為に笑ってほしい
誰でもない、自分の為に
悲しみに満ちた彼女の心が、溶けます様に
失ってしまった笑顔を、取り戻せます様に
「本当―――変わった男だ」
そう言って
少しだけ、彼女は笑った