My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
美しい景色に目を細めていると、自然と口元が弧を描く
暖かな日差しに、再び瞼が落ちそうになる
そんな時――
「いい御身分だな」
ウトウトしていた頭の中に、突然透き通る様な声が吹き込まれる
その声を聞いて、勢いよく瞳を開けそのまま振り返った
「・・・ホリス」
「こんな所で、うたた寝とは」
どこか嘲笑う様にそう言って、俺を見下ろす冷たい瞳
銀色の輝く髪がなびいて揺れる
「――」
それでも、いつもと少し違う雰囲気の彼に目が留まる
なんだろう、纏っている空気が違う
いつもより研ぎ澄まされた
ピリピリと肌を刺す様な雰囲気
まるで、初めて森で会った時の様な―――