My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「――何かあったのか?」
言葉を落としそうになったホリスの声を遮って、そう言う
すると、ピクリと微かに眉を動かしたホリスだったが、次の瞬間小さく鼻で笑った
「まだ騎士としての感覚は失ってはいない様だな」
そう言って、音も無く静かに俺の隣に腰を下ろしたホリス
先程の俺と同じ様に目の前に広がる景色に目を細めている
微かに流れる重苦しい沈黙
そして
「ガスパルだ」
吐き捨てる様なその言葉に、ピクリと体が反応する
隣に座るホリスを見たけれど、俺の顔なんて見ずに
ただ真っ直ぐ前を見つめている