My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「ガスパルが、あれで引き下がるとは思えない」
「――先の戦か」
呟いた俺の言葉に同意する様に、小さく頷いたホリス
――確かに
今や大国を飲み込む程の力を持つガスパルだ
どんな手を使ってでも、奪い返しに来るだろう
それだけの力がある国だ
ましてや、こんな美しい国
欲しくないはずがない
「いつか、来る」
「――」
「またこの国を奪いに来る」
そう言って、勢いよく立ち上がったホリス
太陽の光を取り込んで、美しい衣が透けて、はためく