My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ


「ガスパルが、あれで引き下がるとは思えない」

「――先の戦か」



呟いた俺の言葉に同意する様に、小さく頷いたホリス




――確かに

今や大国を飲み込む程の力を持つガスパルだ

どんな手を使ってでも、奪い返しに来るだろう

それだけの力がある国だ



ましてや、こんな美しい国

欲しくないはずがない




「いつか、来る」

「――」

「またこの国を奪いに来る」




そう言って、勢いよく立ち上がったホリス

太陽の光を取り込んで、美しい衣が透けて、はためく


< 239 / 304 >

この作品をシェア

pagetop