My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ





「――アレンの国にも市場はあるのか?」



美しい花畑に座り込んで、お互いの国の事を話す

この時のソフィアが一番楽しそうに見える




「アネモスと同じだよ。定期的に市場を開いて、民が収穫したものを売っている」

「そうなのか」

「とても賑っている。食べ物だけじゃなく、服なども並ぶんだ」




色とりどりの食物が並び

人々が活気に溢れている



瞼を閉じれば鮮明に思い出される

長い道に並ぶ沢山の店

所狭しと溢れる民

響く笑い声



それらが懐かしくて、思わず笑みが零れた




「市場を見れば、その国が分かるんだ」

「この国も...分かるか?」



少し驚いた様な素振りを見せて、俺の顔を覗き込むグレイス

その表情を見て、ふっと微笑む

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