My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ


その表情がどこか悲しそうに見えたのを感じつつ、口を開く

民やグレイス達が口々に言っている言葉を





「レイア姫にもう一度、笑顔を。と」

「――…笑顔」

「ソフィアはレイア姫に会った事はあるのか?」




俺の顔をじっと見つめるソフィアに問いかける


すると、長い睫毛をふっと伏せた彼女

月明かりに照らされた真珠の肌が、その瞬間微かに陰る

そして、聞き取れない様な小さな声で呟いた




「――ある。」

「本当か!?」

「あぁ…」

「どんな方?」




俺と父を助けてくれた、人

光の国の絶対的象徴

美しの女神



この国の民の心の中に咲く、一輪の花――

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