My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
壮絶な戦だったと聞いた
この美しい国が、血に染まって
森は死に、水は絶え
多くの騎士が倒れた
そして、生き残った
たった1人の王家の姫君
それが、レイア姫―――
「1人は辛く、寂しい」
小さく伸びる、その声
愁いを帯びたその姿が、初めて会った時と同じ様に脆く揺れる
「みんな、いなくなってしまった」
呟く様にそう言って、睫毛を震わせるソフィア
そして咲き乱れる花にそっと手を添えて
ゆっくり瞳を閉じた