My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
擦れそうな声が風に乗って消える
「――・・・姫は、1人じゃない」
一瞬訪れた静寂の中に、俺の声が響く
強く、真っ直ぐに
俺の言葉を聞いて、瞳をゆっくりと開けて俺を見上げたソフィア
揺れるターコイズの瞳は、美しく輝いている
「姫には…この国の民がいる」
「――」
「いつも姫を想っている」
それは綺麗事なんかじゃなく、本当の事
美しい森も
輝く川も
何もかも、レイア姫の為
彼女の笑顔を取り戻す為
民達が必死に取り戻したもの―――