My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
そう言った俺をじっと見つめるソフィア
それでも、暫くしてふっと表情を緩めた
「ありがとう――姫の事、そう思ってくれて」
柔らかい彼女の髪が揺れる
美しい衣が月明かりに透ける
立ち上がった彼女から香る、甘い花の香り
「アレン」
急に名前を呼ばれて、その勢いで立ち上がった
すると、背を向けていたソフィアが急に振り返った
「頼みがある」
「――頼み?」
なんだろうと思って、首を傾げる
そもそも彼女からそんなお願いされた事などなく、少し驚いてしまう
凛とした姿で俺を見つめる彼女
そして、ゆっくりと笑顔を造った後、口を開いた