My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「私を市場へ連れて行ってほしい」

「市場へ?」



ソフィアの『頼み』に少し拍子抜けする

もっと、突拍子もない事かと思ったから




「俺は、構わないけど‥」

「実は…行った事がないのだ」

「え? そうなのか?」

「――あぁ。」



どこか悲しそうに笑うソフィア

その姿を見て、不思議に思う



市場に行った事がないなんて、どういう事なんだろう

王家に仕える者は行けないのか?




でも、それなら見せてあげたい

あの色に溢れた空間を

彼女に見せてあげたい


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