My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「―――頼む。助けてほしい。父だけでも」
一向に弓を下ろさない男達の間に立つ、この銀の男に一歩近づく
すると、父を見下ろしていた銀の男が、ゆっくりと瞳を俺に戻して透き通る声で囁いた
「まず、女王の元へ」
そう言った瞬間、弓を持っていた男達が父を担ぎ上げた
「やめろっ!!」
ダラリと首の垂れた父を持ち上げた男達に力任せに叫ぶ
すると
「ここに入った事を後悔するんだな―――風の国の使者よ」
その言葉を耳にとめた瞬間
首の後ろに、強烈な痛みが走り
俺は意識を手放した――――