My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
酷く喉が渇いていた俺は、素直に女性から美しい細工が施されたグラスを受け取る
冷たい水が喉の奥に流れ込み、ぼんやりとしていた頭を冴えさせていく
そのまま勢いよく飲み終えて、ゆっくりと辺りを見渡し
俺は、息を飲んだ
天蓋がついた、真っ白な木でできたベット
その周りを絹の様な薄い衣が囲い
風にはためいて、揺れている
そして、この小さな部屋を支える
どこか灰色が混ざったような柔らかい白い数本の柱
その向こうには、壁や窓はない
見えるのは、ここを支える柱だけ――
その柱の向こう側に目を向けると、ここが高台にあるとすぐに理解する
目の前に広がるのは、溢れんばかりの緑と
勢いよく流れる滝が一面に広がっていた