My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ
「久しくだな。アレン」
俺と父の姿を一度目に映した後
陛下がその表情を緩めて微笑んだ
その表情を見て、俺も微かに目を細める
「お久しぶりでございます。陛下」
「先の戦い。見事な働きであった」
「ありがたきお言葉。幸せにございます」
俺をじっと見つめる陛下に片手を胸に当て深く頭を下げる
天井から差し込む光がベールとなり
陛下と俺の間に差し掛かる
そんな俺の姿を見て一度深く目を細めて微笑んだ陛下だが
またすぐに真剣な顔で俺達2人を見下ろした
「今日そなた達を呼び寄せたのには、ある頼みがあっての事だ」
「――なんなりと」
跪いたまま、陛下を見上げる父さんが小さく頭を下げてそう言う