秘密な蜜愛
ユマが地元を離れ、此処へ来てから今年で2年が経った。
右も左も分からないこの地で、きっと沢山の苦労もあっただろう。
正直、寂しい思いをさせて彼女が別れを切り出してきたら…。と、悩んでしまう時もあった。
けれど、そんな俺の心配をよそに、すぐに新しい環境が気に入った彼女。
仕事も充実して、帰りはいつも遅めだけれど笑顔を絶やす事は無く、毎日が充実しているようだった。
一日の中で会わない時間の方が多かった毎日。
けれど、そんな日々を乗り越えてこれたのは、きっと俺が誰よりも今日という日を待ち望んでいたからなのかも知れない。
「そろそろ、お時間です。」
凛としたスタッフのその声に、ゆっくりと椅子から体を起こす。
後に続き足を進め、着いた先は両開きの大きなドア。
この先に…。
大勢の人がいる状態を想像し、再び手のひらが湿り始める。
ギュッと握り拳を作り、一呼吸着く俺。
そして、合図と共に目の前のドアが開き始めた。