秘密な蜜愛
やはり着慣れないドレスは歩きずらいのか、少し遅れて来たユマ。
けれど、その笑顔は崩れる事は無くとても美しく微笑んで見せる。
「始めまして。ユマと申します。」
丁寧にお辞儀をするユマ。
その綺麗な仕草に、今更ながらドキッとしてしまう。
想像とだいぶ違いがあったのか、固まる社員達。その姿に、サプライズをしたような感覚が込み上げ、達成感に似た何かが俺を包んだ。
ずっと隠してきた存在。
“いつ紹介してくれるんだよ。”
その言葉を何度も言われ続けたけれど、その度に「式当日まで楽しみにしててくださいよ。」そう伝えてきた。
だって、こんなにも綺麗なユマ。
いくら社員でも油断は出来ない。そう思ってしまった俺は、考えすぎだろうか。
いや、それも仕方の無い事。相当彼女の魅力に惚れてしまっているのだろう。
「…とても、綺麗な奥さんだな。」
社長のその言葉が、ジワリと俺の心に届いた。