秘密な蜜愛

肺に入れた白い煙を吐き出しながら、チラリと腕時計を見た。


時刻は21:00前。


来た時はまだ明るかった空が、今では真っ黒く染まり、街中のネオンばかりがその輝きを主張している。

ふと下へ視線を向ければ、ハゲ散らかしたデブのおっさんが、ミニスカートの背の高いモデルのような女性と並んで歩く姿が目に入った。


その姿から視線を逸らす事はせずに、白い煙ばかりを吐いていると。



…やっぱり。



予想的中。



そのまま二人が向かった先の建物を見て、更に目の前がチカチカし始める。



ド派手な看板のソレは、”訳あり”な二人が訪れる事が多いラブホテル。

浮気や不倫、人目につく純粋な行動は避けなければならない交際は、やはりこういう場所しか選べないのだろう。




…これだから。



女性を見た目だけで判断するのは、本当に恐ろしい。

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