144のカウントダウン
第13話〜こころ。〜
体が熱くなっていく。
理央がまぶしくて…直視できない。
今、アタシ告白された。
頭は冷静。でも体は思うように動かない。
「うっ、うそだ。」
噛んでしまう。
「ほんとだよ。」
理央は無表情。あいかわらずだ。
「だって…いきなり…え…!?」
「お前からしたらいきなりかもしれないけど。俺はずっと前から好きだったし。」
「なんで、いま急に…?」
「お前が理由はなせって言ったから?」
もー…。正直すぎだ。バカッ!!
「じゃあさ、ついでだし。」
「なっ!なによぅ。この状況でぇ。ついでとか言ってる場合じゃないんだよ。アタシは!」
「でもさ、言っちゃったし。答え気になるよ。」
ですよねー!
っつーか、答えとか。アタシが聞きたいわ!
『この状況』で、どんな答えをだすのが正しいのか・・・。
「正しいとか。間違ってるじゃないと思うなあ。私は――。」
え?
「花音・・・。」
カノちゃん。どうしてここに??
「ちょっとね。通りかかった。」
「カノちゃん。ごめん…。」
「え?サクちゃん、なんで謝ってんの?」
「だって・・・!」
確かにアタシは、実際なにしたわけじゃないけど。
でも、
「理央は、カノちゃんの好きな人なんでしょ・・・?」
「好きだよ。でも、アタシの恋愛相手は光くん。理央くんとは、何にもない。」
「え・・・。でも!」
「サクちゃん・・・。」
カノちゃんは、さえぎるように言った。
その表情には『アタシと理央くんの関係は友達なんだよ。』と、言っているようだった。
「サクちゃんは、理央くんのコト。好き?」
そんなの・・・。
「重要なのは、サクちゃんが理央くんのことをどう想ってるか。これからどうしたいかじゃない
の?その答えに間違いとか、正しいとか。ないじゃん。」
カノちゃんの表情は「無」だ。何も映ってない。
でも不思議と。気持ちが見えた。
カノちゃんの「想い」は透けて見える。
アタシはその思いに背中を押されるようだった。
瞳を理央に合わせる。
小さく息を吸う。
呼吸を整える…。
「りお…。」
「ん…?」
左胸に手を当てる。
息を吐いて。落ち着かせて…
絶対に噛まない。
大きく息を吸う…。
しっかり伝える――!
「理央。好き!大好き!」
世界に彩(いろ)が付いた気分。
日差しはさらに強くなって。
理央の表情はよく見えない。
目の端に見えたのは、カノちゃんの、わずかな笑み。
「ありがとな。咲来。」
覚えているのはそのあたりまで。
もう、頭の中はいっぱいいっぱいで、なにも考えられなかったのだろう。
単純に
嬉しかったのか。
安心したのか。
それとも、
カノちゃんの理央へ対する気持ちが
嘘のように消えたのが
悲しかったのか...。
数滴、涙が流れた。