ブラッドサースティ・キラー
「ちょっとー!私に口答えする気?私は今、忙しいんだから、ちょっとパーッとそこまで買いに行ってよね!」

「……はぁ。分かったよ」


 美月姉さんに頼まれた以上、抵抗や放棄することは出来ない。

 美月姉さんは怒らせると怖いので、速やかに、従うしかないのだ。

 姉と弟というより、主と従者に近い存在だと、僕はつくづく思う。

 美月姉さんは、自分の部屋から上半身だけを出し、サイフを差し出してきたので、僕はそれを黙って受け取る。

 何をしていてそんなに忙しいのかは分からないけれど、どっちにしろ、最初から僕に拒否権なんて与えられていないので、知ったところでどうにもならない、か。

 僕は「行ってきます」と一言かけてから家を出て、寒々しい夜の町へと飛び出した。
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