ブラッドサースティ・キラー
 ゆっくりと頭をあげ、女の人の方を見る。

 男共に服を脱がされていく女の人は、涙を流していた。

 ドクン、ドクンと、心臓が大きく鼓動する。息が荒くなる。汗が噴き出す。

 まさか、目の前の性的な現場に興奮している?――違う。違う。

 僕は――。


「もっと楽しいこと、しねぇ?」


 どこからか聴こえる男の声。


「なんだ?!お前は?!」

「俺はただの通りすがり。お前が何やら楽しそうなことをしているから、見に来てやったんだ」

「なっ、なに……?!」

「でもよ、そんなことよりもっときもちよくて楽しいこと、しようぜ?」

「それは……っ?」

「殺・人♪」


 ふわふわと揺れる意識の中、僕は確かに聴いたんだ。


「ああ。また殺しちまったよ」


 その声を最後に、僕は気を失った。
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