ブラッドサースティ・キラー
「これは、事件だ。そして君は、被害者だ。何があったのか、覚えていたら話してくれないか?」

「……事件……」


 僕は気を失う前のことを警察の人に話した。

 警察の人は僕の言葉の1つ1つを手帳に書き込んでいく。


「分かった。協力、感謝する」

「あっ、いえ……」


 なんとなく、嫌な予感がした。

 学校にいる時に大地から聴いた、殺人鬼のことを思い出したのだ。


「あの、」

「ん?」

「今、この辺りで噂されている、殺人鬼がやったんですか……?」

「……そう、だとは言い切れないのが現状だ」

「え?」


 それは一体どういうことなのだろうか?


「もしも今噂されている殺人鬼なら、君も殺していたはずなんだ。それなのに、殺していない。それどころか――」
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