ブラッドサースティ・キラー
「分からないから……聞いているんですが……」


 声が震える。

 殺人鬼なる人物ならば、へたに機嫌をそこなわせてしまうとどうなるかが分からない。

 最悪、殺されてしまうかもしれない。

 それだけは絶対に嫌だ。

 生きる理由はまだ見付かっていないけれど、死ぬ理由だって見付からない。

 殺人鬼なる人物の機嫌をそこなわせたので死にました――なんて、そんな死に方だけはしたくない。


「なら、分かるまで、分からないままでいとけ。俺から何かを言うつもりはない」

「っ……それなら、今回はどうして僕の目の前に?何か、理由があったからじゃないんですか……?」

「ん?ああ。――暇潰し」

「へ?」


 殺人鬼なる人物が、暇潰し?

 よりによって、どうして暇潰しの相手が僕なんだろう……?
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