ブラッドサースティ・キラー
 今まで何をしていたのかさえ思い出せないなんて、致命的にも程がある!

 一歩、恐る恐る踏み出してみると、ぐちゃりと、床から何か柔らかいものを踏んだ音と感触がした。

 身体は反射的に飛びのき、片足が踏んだ場所をそっと見下ろす。


「ヒッ……!」


 月の光に照らされたそこには、かつて人間“だった”ものが転がっていた。

 ぴくりとも動かない“それ”は、やっぱり真っ赤に染まっていて、身体の一部から内臓や骨が剥き出しになっていた。


「うぐ……ぐえぇぇ」


 非現実的な目の前の光景に、思わず嘔吐した。
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