ブラッドサースティ・キラー
 殺ったのがトイレで話をした人物なのかは分からないが、おそらくその人物で合っているだろう。

 噂されている殺人鬼……とは断定しづらいけれど、おそらくこれも合っているだろう。

 僕がトイレで話をした人物は、噂されている殺人鬼で間違いない。

 僕は殺人鬼に助けられ、殺人鬼と会話をし、殺人鬼に殺人予告を言い渡されたんだ。

 でも、どうして?どうして僕なのだろう?

 それだけがいくら考えても分からない。その理由が、いくら考えても分からない。


「きもちよかったぜ?殺人はよォ」

「!」


 トイレの中に響く、殺人鬼の声。

 キョロキョロと辺りを見渡してみるけれど、殺人鬼の姿はない。


「お前は……噂されている殺人鬼なんだな?」

「ククク、そうらしいなァ」


 殺人鬼は笑う。
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