ブラッドサースティ・キラー
 あたたかな光に照らされた“それ”は、真っ赤に染まっていた。

 血によって。

 そして、それはやっぱり僕の母さんで、てらてらと光るナイフが背中に突き刺さっている。

 まさか。まさかまさかまさか、し、し、ししし、死んで、る?

 うそだ。

 うそだ、うそだ、うそだ、うそだ、うそだ、うそだ。


「と……うさ……。みつ……きね……さん……」


 視界が定まらない目でリビングを見渡すが、そこに父さんと美月姉さんの姿は、ない。いない。

 こんな状況だからこそ誰かを頼ろうとしてしまうのは、僕がまだ見た目的にも中身的にも子供だからだろうか。

 でも、こんな状況に出くわして、冷静でいられる大人などいるのだろうか。

 僕は、僕なら、無理だ。

 頭の中が真っ白になる。
< 42 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop