ブラッドサースティ・キラー
 半ば錯乱状態になっていた僕を引き戻したのは、僕の名前を呼ぶ声だった。


「皐月!」

「!」


 声のした方を振り返る。

 そこには、部屋の入口には、那ヶ真先輩が立っていた。


「夜道を歩いていたら叫び声がした。勝手に入って来てすまない」


 那ヶ真先輩は謝った。

 けれど、今の僕にはどうでもいいことだった。

 生きている人がいる、それだけが何よりの救いで。

 僕は那ヶ真に泣きついた。


「那ヶ真先輩!僕……ぼく……どうしたら……っ!!!」

「みっともない、泣くな」

「でも……でも……みんな、し、しん、じゃって……っ」

「……泣くな」


 気が付いたら、僕は泣き疲れていたらしく、那ヶ真先輩の腕の中で眠っていた。
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