ブラッドサースティ・キラー
「ふわぁ~……ん?」


 廊下から豪快にあくびをしたおじさんが姿を現した。

 僕は素早くそちらを向いて、小さく頭を下げる。


「おじさん、おはようございます。そして、ありがとうございま――」


 喋っている途中、おじさんに頭をわしゃわしゃと撫でられた。


「かたっくるしい挨拶はナシだナシ。昔からの付き合いだろ?俺達」

「……っはい!」

「本当に礼儀正しいわよねぇ、皐月ちゃんは。うちの大地もこんなに礼儀正しければ……」

「母さん、聴こえてる」


 ぬっとおじさんの後ろから姿を現した大地は、まだ眠そうな目をおばさんに向けた。


「あらやだ。ホホホ」


 おばさんは自分の口元に手を当て、わざとらしく笑った。
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