ブラッドサースティ・キラー
 辺りをグルグルと見渡し、殺人鬼が隠れていないか神経を研ぎ澄ます。

 と、廊下でパタパタと忙しないスリッパの音が聴こえた。


「皐月ちゃん?何かあったの?」


 おばさんだ。

 今、この部屋に入ってきたら、大地の死体を見るはめになる……!


「邪魔だよなァ?」

「えっ……」


 真後ろから囁くような殺人鬼の声がしたかと思いきや、頭に鈍器で殴られたような激痛が走った。

 僕はそのまままえのめりに倒れて――ぷつんっと、意識を失った。

 おばさん、おじさん、逃げて。

 殺人鬼が……2人のことを、殺してしまう……その前に……。
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